地域から愛される店づくり、これからもずっとこの場所で
株式会社比呂野 代表取締役 廣野耕史さん
あーおなかすいた。今日はとんかつ食べたいなー。いやきしめんかな?うーん、うなぎもいいなぁ。そして食後にコーヒーも飲みたい。でも外出がめんどくさいから…そうだ、出前にしよう!
そんなわがままをすべて叶えてくれるお店が川名にはあります。
創業47年…地域の人に愛される川名を代表する飲食店「比呂野」の代表、廣野耕史さんにお話を伺ってきました。
受け継いだ「比呂野」の暖簾
比呂野は先代の親父が脱サラして1973年に始めたお店なんです。何か自分で始めたいと思っていたようで、住んでいた自宅を改装して喫茶店をスタートしました。その後料理人さんと出会って1977年にとんかつ家をオープンさせました。そのころから出前もやっていたみたいですね、まだ僕がほんとに小さい時からです。
僕は高校卒業後、神戸の料理専門学校に通ってました。なんで神戸かっていうと一人暮らしがしてみたかったから。卒業後は地元名古屋に戻り、名古屋の飲食店に就職しました。
23歳の時、親父が他界。それを機に実家(比呂野)に戻ることを決めました。
古い考えかもしれないけど、親父が亡くなって自分と母親と妹だけになったから自分がどうにかしなきゃ、って思いが強かったです。
親父が残した比呂野の暖簾に泥は塗れない、と親父の死に顔を見て思いました。
それまでは若かったから、いろいろ不真面目だったり、生ぬるい考えもあったと思います。でもこれを機に、性格やモノに対しての考え方が本当に変わりました。
2代目のプレッシャー
比呂野に戻った当初は、親父の下で働いてた創業メンバーの従業員たちが最初は言うことを聞いてくれなかったんですよ。 だから比呂野に戻ってからはとにかくがむしゃらに働きました、認めてほしかったんだと思います。
接客をはじめ、掃除の仕方やメニューや盛り付け、キャベツの切り方まで、一つ一つ自分が考える正しいものに見直していったんです。そうやって悪いところは直して正しい形を作っていく、の繰り返し。比呂野の味や伝統は守りながらも新しいものは取り入れる。そうしていくことによって、少しずつ売り上げも上がっていきました。
最初は従業員との衝突もありましたけど、結果的に店が繁盛することによって従業員との信頼関係が出来たと思ってます。
それまではほんとしんどかったです(笑)
名古屋めし
2010年にうなぎ家をスタートしました。
このエリアはうなぎ屋さんがなかったですし、高齢者も多いから近場で食べれるところがあったらいいかなって。
そうやって始めたうなぎ家ですが、なんとオープンした年にうなぎの原価が3倍も値上がりして…。
オープン前はそんな値上がりすると思ってなかったから、周りのうなぎ屋さんがどんどん値段を上げていく中、値上げしないでがんばりました。新参者は値上げなんてできないでしょ。だからその年は本当に大変だったけど、世の中の状況を見て、うちも最後にやっと値上げさせてもらいました。そんなこんなでいつの間にか10年経ちましたね。
その後2017年にきしめん家もスタートしました。もともとの場所にうどん屋さんがあったんだけど、お店をたたまれたんです。
ずっと空いてたんですが、別の飲食店さん出店しようとが下見に来たのを偶然見て、急いでうちで始めなきゃと思いオープンさせてもらいました。
なんできしめん一本かというと、うなぎ家を始めたときに「比呂野ってそういえば全部名古屋飯だな、じゃあ麺ものはきしめんにしよう!」と。
何か始める時はもちろん周りにも相談しますけど、やると決めたら一人で進めます。
地元に支えられて
親父を知ってる当時のお客さんがふっと来店して、なにも変わってないねーと遊びに来てくださいます。
僕が比呂野を受け継いだ頃に働いてくれてた当時のアルバイトが社会人になって、子供を連れて家族で食べに来てくれたりもします。
近所に住む、3世代の家族もいます。おじいちゃんが若いころから通ってくれて、その息子が来てくれて、そして孫も来てくれる。
春休みや夏休みとか、学校が休みの時期にうちは忙しくなるんですよ。
近隣に住んでるおじいちゃんやおばあちゃんに子供たちが会いに来る。おじいちゃんたちは孫を連れて比呂野に食べに来てくれるんです。
地元で商売してると、そういうお客さんとの関わりがとてもうれしいです。
川名とかわな病院について
今まで不便と感じたことが一つもない、それが住みやすさなのかなと思います。
病院もスーパーも、もちろん「比呂野」もあるし(笑)、交通の便も結構いいんですよね。比呂野前のバス停から栄まで一本でいけます。
かわな病院さんには僕のおじいちゃんも、親父もお世話になりました。近隣ではかわなさんにお世話になってる方多いんじゃないですか。僕の知ってる方は結構入院とかお世話になってるって聞きます。
地域としては安心できますよね、このエリアは特に高齢者が多いし、安心感があると思います。
スタッフにはいつも「お客さんは通りすがりで来てくれたんじゃなく、比呂野を目的にして来てくださっている。だからそのつもりで接客してね」と言ってます。
とにかくうちは地域密着、地元の人に支えられている。規模を広げるより、これからもずっとこの土地で皆さんに愛されるお店でありたいと思ってます!
とんかつ家/うなぎ家/きしめん家/珈琲家 比呂野
愛知県名古屋市昭和区山花町116番地
052-751-2612 (珈琲家比呂野)
http://nagoya-hirono.com/