理容師が表現すべきは基本に宿る美しさ 男は男らしく、女は女らしく

ヘアークラブ サントス 吉川正一さん

ヘアークラブ サントス 吉川正一さん

川名公園北東に位置する、ライトブルーのレトロな外観と定期的に変わるショーウィンドウのイラストが渋かわいい理髪店をご存知だろうか。外から覗くといつも背筋がピンと伸びた、あざやかなブルーにカラーリングされたヘアスタイルのオーナーが印象的だ。

今回は入院患者さんの散髪をお願いすることもあり、当院との関わりも長いこのお店、昭和の時代から川名を見守り続けてきた「ヘアークラブ サントス」の吉川正一さんにお話を伺った。

もとは名古屋市に数店舗あった「サントス」という喫茶店が事業を拡大し、昭和41年に「ヘアークラブ サントス」が誕生した。喫茶店名にならい、理髪店も同様に「サントス」となった。ブラジル サンパウロ州にあるコーヒーの名産地サントスに由来しているそう。 

「実家は農家だったけど、母がこれからは理容師だってことで勧められて理容師になりました。当時は理容業界がすごく賑わっていたんですよ。鶴舞南にある理容室で見習い修行をして、夜は通信で勉強する。忙しかったけど楽しかったですね。理容師資格を取ってから10年後、喫茶サントスのオーナーから声を掛けられ、昭和41年6月に店長として川名でお店を任されました」

それから約1年後の昭和42年11月、吉川さんは店長からオーナーとなり現在まで営む。 

職人として技術を高めるため、様々な競技会にも出場したそう。愛知県代表や審査委員にも選出され、サントス内には輝かしい受賞歴が並ぶ。

「昔は競技会に出場する人も数百人単位で多かった。一度だけ優勝しました、選手宣誓もやらせてもらいました」

「お客さん相手の仕事だから嫌なことも言われましたけどね、でも当時は自分も若かったし、少しづつ仲良くなりました。仲良くなってからは毎週通ってくれるお客さんもできたんですよ。なじみのお客さんで長い方は開店以来ご来店頂いています。最近はコロナの影響もあってちょっとお客さん少ないけどね」

     

吉川さんのラッキーカラーは黄色だそう。(取材チームは青だと思っていました!) ラッキーカラーをそのまま名刺のカラーにし、デザインも吉川さんご自身で手掛けている。

「このロゴはDunhillをちょっと真似して作りました、フォントもこだわってます!」

    

思い出深いのはなじみのお客さんに消火器を頂いたこと。

「赤は良く見るけど、緑はめずらしいでしょ?お中元かお歳暮で2本もらったみたい、そのうちの1本を頂きました」と笑って話す。

  

  

得意なヘアスタイル

「うーん。なんでしょう。近年はサイドを借り上げる2ブロックが多いですね。あれは昔ちょっと流行ってたの。流行ってやっぱり回りますね。リーゼントもそう。昔のリーゼントは全部伸ばして後ろに流したけど、今はサイドを刈り上げて上だけを後ろに流してるね。

昔はね、東京の髪型が名古屋で流行るまでに3年かかってた。だから最新の髪型をお客さんにやっても何これ?ってよく言われてた。今はネットとかあるから便利だね」

「昔はスマホとかなかったから、まずは最初にお客さんとしっかり会話。絵も描いたりして希望を聞いてね。お客さんの髪質とかくせも考えながら作った希望のスタイルを喜んでもらうのが、こっちも嬉しいよ」

髪の毛の生え方(つむじ)がスタイル作りのポイントだそう。右巻きのつむじが多いから、男性の分け目はきれいに流れる左が多いそうだ。

  

  

サントス名物のイラスト

サントスといえば定期的に変わるショーウィンドウのイラスト。

これらも吉川さんが描いた作品だ。ご自身の趣味のテニスをテーマにした作品も多く、このイラストで入店されるお客さんも少なくないそう。季節や行事などさまざまなテーマで描かれている。

浅田真央ちゃんとドラえもん 他の作品はページ下に載せています!

「川名はだいぶ変わりましたね。一番はかわな病院です、刑部病院から本当に変わりました。どんどん現代の病院になっていく。あとはこの辺りマンションが多くなりましたから、新しい方々が増えましたね」

初めてのお店はなかなか入りにくいかもしれないが、「ヘアークラブ サントス」では老若男女OKとのこと。気さくな吉川さんとのお話は本当に楽しいし、理髪店ではかみそりを使用できるので女性のお顔そりも対応してくれる。

気になる方は吉川さんに会いにぜひ行ってみてください。

  

ヘアークラブサントス
愛知県名古屋市昭和区花見通1丁目11
TEL 052-763-0833

吉川さんの作品集